■ 火山を見守るカメラの目 ■
先月号では、地震計など様々な機器で岩手山の活動を監視し、噴火の兆候を事前に把握しようとしている現状を紹介しました。この他、噴気など、直接山の姿を監視する努力も行なわれています。 国土交通省岩手工事事務所、岩手県警、盛岡地方気象台などの防災関連機関は、岩手山の様々な方向から監視カメラで山を見つめています。さらに、岩手県で特徴的なことは、NHKおよび地元民放各社が、平地からは目視できない大地獄谷などの監視を高精度カメラで行ない、その映像を防災に役立てる努力をしていることです。 水蒸気爆発の可能性があると指摘されている西側では、今年の冬も噴気は活発です。火山防災マップでは(押入の隅でほこりだらけになっていないでしょうか・・)、水蒸気爆発を大地獄谷から姥倉山付近まで広い範囲で想定していますが、過去の事例からして、もし起きるとしたら大地獄谷の可能性が大です。
テレビ各社の監視カメラ
現在、マグマ起源の火山性ガスは大地獄谷から噴出しており、谷の監視は防災上重要です。八幡平などから遠望はできますが、比較的近場で谷が見えるのは、樹海ラインの下倉スキ−場付近のみに限定されます。ここに、テレビ局各社の監視カメラが設置され、二十四時間体制で黒倉山から大地獄谷一帯を監視しています。カメラは遠隔操作で移動、ズ−ムが可能で、映像は盛岡の各社屋で社員が適宜注視しています。テレビ岩手の映像は、県庁の総合防災室にも配信されています。テレビ岩手、岩手めんこいテレビの映像のビデオは岩手大学に提供され、詳細な噴気状況の変化の解析が行なわれています。NHK、IBC岩手放送、岩手朝日テレビでも変化に気付いたときには、気象台や検討会メンバ−に照会してくれますし、逆に当方から状況確認にカメラを振って詳細な様子を教えていただくこともあります。 監視カメラに限らず、岩手の報道機関は、防災知識の啓蒙、安全のための情報提供など、研究者・行政と共に「減災」の三角錐の大きな役割を担っています。このような体制は、他の地域ではあまりみられないもので、住民の一人としても大変心強く思っています。
6市町村広報 2001年5月掲載より