■ 登山道以外への立入りは自粛を ■
(道以外の安全確保は困難)
東側の四登山ル−トに、異常事態を伝達する緊急警報装置を設置し、登山者にも警報の確認という自己責任を課すことで、入山規制の緩和が行なわれています。沈静化宣言が出されていない活動中の火山での、共生への新たな試みとして、全国的にも注目されています。改善すべき課題は多々ありますが、ともかくスタ−トできたことにほっとしつつ、活動に変化がないか神経を尖らせております。 登山コ−スを登る方々への対策は可能なかぎり行ないましたが、山菜採りなどで入山する方々への対応は困難です。本来、国有林や国立公園内の一部の立ち入りには許可が必要であり、厳密には登山者も登山道以外へむやみに立入っていけないことになっています。しかし、竹の子、松茸など山の恵みを採取する目的で入山する人は多く、平時は黙認されてきたのが実態でしょう。また、規制緩和の以前から入山していた方々がいたことも事実です。
登山道には緊急警報装置を設置しましたが、噴火が切迫した場合など、この方々に確実に下山を呼び掛ける手段はありません。
(遭難者を放ってはおけない)
”山のことは長年入山して知っている、危険が迫ったら察知して避難する”といった話が伝えられています。しかし、活動の周期が長い岩手山で、専門家ですら具体的にいつどのような噴火が発生するか正確に予測することは難しいと認識しているのです。悪天候ではヘリによる呼び掛けも出来ません。警報装置は登山道以外にまで設置することは無理ですから、これらの方々に確実に情報を伝えることは出来ないでしょう。万が一のことがあっても、”自分の責任で誰にも文句をいわないからいいだろう”との声も聞きました。しかし、人命救助の立場から、警察・消防など多くの方々が危険と隣り合わせで救援・捜索活動に携わることになるのです。たとえ、よけいなお世話といわれても、”骨”を拾わずに放ってはおけないでしょう。規制の継続している西側は勿論、一時緩和された東側でも、沈静化するまで登山道以外への立ち入りは自粛してほしいと思います。
6市町村広報 2001年8月掲載より