■ 西側での噴気・地温の調査 ■
(現地調査は大変です)
規制が緩和された東側での地震活動や噴気などに大きな変化はなく、ほっとしています。規制の続く西側では、目に見える噴気は、ひところより弱まりつつあるようにも感じられますが、活動はなお活発です。今後どうなるかを考えるため、現地の状況を詳しく調査することが重要です。 大地獄谷では、主噴気孔の周辺に硫黄が飛び散り、有毒な火山性ガスを含む噴気が出ており、私たちもむやみに近付くことは避けています。火山ガスの分析は専門家である、東京工業大学の平林教授に依頼していますので、頻繁に行なうことは困難です。私たちは、主に、黒倉山から姥倉山にかけての地温、噴気、植生の状況を観測していますが、稜線から下は2m以上の笹や樹木が密生し、踏み入るのは大変です。上空からの写真を頼りに、噴気地帯を目指します。竹薮をかき分け踏みしめて、一歩前進するのに何十秒もかかり、体力も消耗します。そのため、天候の良い日をねらって、県の防災ヘリ「ひめかみ」で、稜線部に降ろしてもらっています。ヘリの援助がなければ、調査は不可能です。但し、天候が悪化するとヘリは迎えにこれず、自力下山という、疲れきった体には悲惨なこともおきます。 なお、水蒸気爆発などに遭遇したら、命にかかわる危険性もありますので、滞在時間を出来るだけ短くするなど、配慮しています。
(県設置の機器も重要)
好天時は、月に何日もありませんからから、頻繁に現地調査を行なうことはできません。そのため、県は黒倉山〜姥倉山稜線部に独自に地震計二台と地温計五台を設置し、無線でデ−タを送らせています。水蒸気爆発などどこまで予測できるかはわかりませんが、異常事態を把握する上で、大きな役割を担っています。地温のデ−タは、インタ−ネットで研究室でも見ることが出来、私たちも頼りにしています。地方自治体がそこまでする義務はないとの考えもありますが、国の観測にも限度がある以上、地域住民の安全に尽力することに異義を唱える県民はいないでしょう。 多数の噴気孔が確認され、地温も高い西側の状況の詳細についてはあらためて紹介します。
6市町村広報 2001年10月掲載より