■ 有珠山噴火!岩手山の場合は? ■

 北海道の有珠山が噴火しました。火山性地震が頻発し始めてからわずか四日後のことです。周辺の伊達市・虻田町・壮瞥町の一万人以上の住民が噴火の前に避難し、人的な被害は出ませんでした。今後、さらに本格的な噴火が発生し、新たな災害も発生する可能性はあります(この原稿は、四月十日に書いています)が、初動はほぼ百点満点であったと敬服しています。岩手山でもこのような対応が出来るのでしょうか。

有珠山の特徴
 有珠山は岩手山とは異なり、非常に粘り気のあるマグマが上昇し、大きな地震や地殻変動を生じて短時間(数十時間〜数日)のうちに噴火します。活動の周期も二十〜三十年と短いため、これまでの観測記録も豊富で、噴火の予知が可能です。研究者が一両日中に噴火と警告し、気象台も初めて噴火の前に緊急火山情報を出しました。警告は速やかな避難に大変役立ちましたが、これも過去のデ−タが豊富だからこそできたのです。 また、北海道では十勝岳・駒ケ岳など短い周期で噴火する火山が多くあります。有珠山でも一九四四年(昭和新山が畑の中から盛りあがる)、一九七七年に噴火しているため、防災関係機関や住民が噴火を体験しています。防災意識も高く対応も速やかです。
岩手山での噴火予測は?
 では、岩手山で同様な対応が出来るかといえば、「ノ−」といわざるをえません。岩手山は最近の大きな噴火である焼走り溶岩流の噴出でも約二百七十年前とはるか昔です。現在、観測機器は有珠山より多く設置していますが、過去の観測デ−タがないのです。東側でのマグマ噴火は、地震や微動が頻発して、切迫してきたとはいえても、いつ、どのような噴火がおきるか正確な予測は、努力はしますが・・・困難かも知れません。 また、この二年間、防災マップや防災ガイドラインを作成し、行政・関係機関・住民の連携の取り組みを必死で進めてきましたが、有珠山周辺の経験には及びません。自分ならどう対応するか、我が事として、注目し学んで欲しいと思います。ボランティア活動など助け合いも考えましょう。


6市町村広報 2000年5月掲載より

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