第92回「火山噴火予知連絡会」(2002年10月15日)以降、ヘリコプターによる機上観測は、岩手県防災ヘリコプター「ひめかみ」が定常点検中であったこともあり、自衛隊ヘリコプターにより1回実施されたにとどまりました。
2002年12月13日、自衛隊ヘリコプター機上観測、12時50分〜13時40分、岩手駐屯地発着。
・黒倉山山頂の噴気は観測中に一時的に強まりランク7程度に達した。
・大地獄谷の噴気は谷稜線部を越えている。主噴気の硫黄の尖塔は雪をかぶり、周辺の昇華硫黄の飛散もほとんど
認められない。噴気は主噴気孔および大穴以外の複数の噴気孔からの勢いが強い。
・西小沢は、1,3,4号噴気が融雪し、3号からは稜線まで噴気が立ち上がる。2号噴気付近は雪をかぶっている。
・稜線三角岩、姥倉山登山道、南斜面の融雪部からはモヤモヤと噴気が立ち上がる。
・北斜面、1〜3に融雪した噴気孔が連なり、弱く噴気が立ち上がる。
・小原1号噴気勢い強い。
・網張元湯の噴気も犬倉山稜線までしばしば立ち上がる。
・大松倉山、三ツ石山、東側薬師岳火口周辺には異常は見られない。
国土交通省岩手工事事務所の下倉山監視カメラ、岩手めんこいテレビの子高倉山監視カメラ映像の解析は、引き続き岩手大学で行われ、松尾村県民の森からの目視観測も随時行われています。
監視カメラのビデオ映像の解析による大地獄谷の噴気ランク(1日での最高ランク)は、2002年30から2002年10月にかけ。ほとんどランク5以下で推移し、西岩手山での噴気活動の頭打ちから低下を示唆していたが、噴気の強さは11月以降再び活発になっています。
黒倉山山頂の噴気も、同様の傾向を示し、好天時には松尾村から黒倉山山頂の白い噴気が恒常的に目視されている。黒倉山〜姥倉山稜線部の噴気群からもしばしば噴気が立ち上がっており、噴気の強さは2002年春以前の状態に戻ったよう見えます。
文責:岩手大学 斎藤徳美