98年8月頃から西側での火山性地震は漸減の傾向を示したが、山頂東側の深さ5〜10kmでは、マグマの動きと関連すると考えられる火山性微動や低周波地震が発生しており、その数は増加傾向が見られる。山頂火口を中心とする東側では過去にマグマ噴火が繰り返され、噴火が起きると大きな災害が予測される。そのため、検討委員会では東側のマグマ噴火による被害想定(1686年の山頂噴火規模を想定)の検討を進め、10月9日に西側の水蒸気爆発も含めた「岩手山火山防災マップ」を公表し、周辺6市町村の全世帯、高校の全生徒、小中学校はクラス毎に、合計約20万部を配布した
東側でのマグマ噴火では、噴石、降灰、溶岩流、火砕流、火砕サ−ジ、土石流、融雪型火山泥流など各種の災害が想定され、ハンドブックには、災害の状況や対処の仕方などがわかりやすく説明されている。
噴火の経験のない岩手県民はもちろん防災の実務にあたる防災関連機関も火山噴火に関する知識や認識は薄い。作成されたマップは、それに基づいて防災体制が構築され、また住民に理解されなくては意味をもたない。そのために、コンサルタントに下駄をあずけて、学識経験者がOKをだす形をさけて、国・県・市町村の防災担当者と研究者が膝をつきあわせて真剣な議論を繰り返した。正式な委員である市町村長が出席する委員会は5回であるが、担当者によるワ−キング、ミニワ−キングはまさに連日夜中まで開催され、当初は出来るだけ少ない対応をとの願いで望んだ行政も、最後は納得ずくでマップの内容に合意した。
マップの公表にあたっては、テレビ・新聞などの報道機関に住民により理解しやすい報道をお願いして、事前に報道用簡便マップを配布し説明会を開催した。また、住民への説明にあたる市町村の防災担当者や、生徒への説明にあたる教員を対象にした説明会も実施した。さらに、直接住民との対話集会や、民間企業の研修会には「INS岩手山火山防災検討会」のメンバ−がボランティアで出席し、理解を深めるための努力を重ねた。また、11月には、建設省岩手工事事務所がビデオ版を作成し関連機関に配布、留学生や外国人観光客を対象に、マップの英語版および中国語版も作成された。
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